肉離れの処置方法 テーピングや包帯の使い方と意味を専門医解説

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師川崎市立井田病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

肉離れをしてしまったときに必要なのは重症化させず、治りを早めるための応急処置とその後の治療用の処置です。

それらの処置方法にはテーピングや包帯、アイシングなどさまざまありますので、できるだけわかりやすくお伝えしたいと思います。

後半には肉離れのテーピングについての解説です。太もも、ふくらはぎ、腹筋についてそれぞれ解説しておりますのでご参照ください。

こんにちは、整形外科医でスポーツメディカルコーチの歌島です。本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

肉離れの処置方法の基本

肉離れの処置方法について解説していきますが、最初に述べたとおり、処置には受傷直後の応急処置と、治療過程で行う処置がありますので、それぞれのコンセプト、考え方、方法について解説していきます。

肉離れの応急処置方法

まずは肉離れの「応急」処置方法ですね。

これは基本的には他の外傷一般の応急処置の原則通りやっていれば問題ありません。

その原則はRICE療法と呼ばれるモノです。

R:Rest 安静 or 固定

患部を安静にするという基本中の基本です。

骨折などではさらに動かせないように固定することが多いです。

I:Icing 患部を冷やす

アイシングですね。 これはこちらの動画で、詳しく説明しているので、 もしご覧いただいてなければ、 ぜひ参考にしてみてください。

要はやり過ぎはよくないが、 短時間を何回かやるのはやったほうがいい というのが僕の意見です。

また、凍傷を防ぐことは最低限必要です。 冷やしている部位の感覚がなくなってきたら 冷やすのを一回休みましょう。

C:Compression 患部を適度に圧迫する

外傷の場合はどんどん腫れてきますので、 それを少しでも抑えるためにも圧迫は大事です。

そのときのポイントは、 一部に圧が強まらないように 均等に包帯を巻く。

ということです。

また、患部の痛みが強まったり、

圧迫した部位の先(末梢側)が 青白くなったり、痛みが出たり、 しびれたりするようなら、

それは圧迫が強すぎですから すぐに緩めてください。

E:Elevation 患部を可能なら心臓より高く挙げる

高く挙げることも大切です。

心臓より高く挙げることで、 重力を使って、 患部に集まり溜まってしまった 血液を静脈から元に戻してあげる。

そんなイメージです。

 

その中でも肉離れにおいて特に大切なのが「圧迫」です。

後半のおさらいでもお伝えするように、肉離れは筋肉線維が部分的に切れてしまい、そこに出血した血のかたまりが溜まってしまうような現象です。

この血のかたまり(血腫といいます)が大きければ大きいほど、断裂した筋肉線維は離れた位置におかれてしまって、結果として治るまでに時間がかかり、かつ、治ったあとも脆い、弱い、再発しやすい筋肉になってしまいます。

その血腫がどんどん大きくなることを防ぐために、断裂した筋肉線維を近づけるために、患部を「圧迫」するというのが何より大切になるというわけです。

 

圧迫に使いやすいのは弾性包帯(弾力包帯)だと思います。 ある程度伸び縮みする包帯で、巻くときの強さで圧迫の強さを調整できるメリットがあります。

それに対して、テーピングは緩んだりすることは少ないですが、一度貼ってしまえば、巻く強さは、また新たにテープを巻き直さない限りは調整できませんので、少し使いにくいですが、のちに述べるようにサポートテーピングということもできるので、常備しておくといいですね。

 

弾性包帯、テーピングも巻く、貼る手間がかかりますよね。

そういう意味では、より簡易的なのはサポーターです。圧迫を目的としたサポーターも結構ありますし、巻く強さもマジックテープなどで調整できるのでオススメです。

肉離れの治療過程での処置方法

次に肉離れの治療過程での処置方法です。

肉離れの治療過程で必要な処置のコンセプトは

肉離れした筋肉にかかる負荷を減らす・調節する

ということです。

 

つまり、治癒過程においては完全に安静にだけしていればいいわけではなく、肉離れが自然治癒していくにつれて、筋肉を動かしたり、伸ばしたりしながら

筋力を維持し、筋肉がカタくなることを防いでいかなくてはいけません。

しかし、それも治っていく中で無理に動かしたり、ストレッチすれば、 逆にまた、治りかけの筋肉線維が再度ちぎれてしまう

そんなことも起こりえます。

 

そういう意味で筋肉への負担を減らしながらも 使っていく、伸ばしていく

ということが治療の中心であり、

その「筋肉への負担を減らしながら

という部分を処置で達成していきたいということなんですね。

 

そう考えると必要な処置方法は主に2つです。

  • 筋肉の線維をまとめておくための患部圧迫はやはり必要
  • 筋肉の働きをサポートするキネシオテーピング

患部圧迫については先ほども述べたことですね。 弾性包帯、テーピング、サポーターなどで行うということですね。

肉離れの安静、サポート目的のキネシオテーピングの方法

もう一つ、筋肉の働きをサポートするキネシオテーピングというのは、要は伸び縮みしやすい伸縮性テープの代表であるキネシオテープを使ったサポートテーピングです。部位毎に解説していきます。

基本原則はサポートする筋肉が収縮すると動く関節の動きが行いやすいようにテープを貼るということで、結局は、その筋肉に沿って、少しテープを伸ばしながらか、もしくは関節をサポートしたい動きの状態(曲げたいなら曲げた状態)で貼っていくことで、そのテープが伸ばされたときには縮む力が加わり、筋力をサポートすることができます。

つまり、その沿って貼った筋肉の負担が減るということです。

もちろん、伸ばして貼りすぎたり、深く曲げたり、完全に伸ばして貼ったりしてすると、関節の動きが大きく制限されることになるので、スポーツパフォーマンスが落ちてしまったり、日常生活に問題が出たり、皮膚がかぶれたりしてしまいますので、テープの伸ばし具合、テープを貼るときの関節の角度を調節することが大切です。

オススメの貼り方は、

  • テープは伸ばさず自然に貼り、関節の角度で強さを調節する
  • 関節の角度は筋肉がストレッチされた状態(痛みがないレベル)で固定、テープの伸ばし具合で強さを調整する

という、どちらかです。テープの伸ばしっぷりか、関節の角度、どちらかは変えないことで強さの調整をしやすく、シンプルにしましょう。

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太もも 前(大腿四頭筋)肉離れのテーピング

太ももの前の肉離れは大腿四頭筋の肉離れだろうと思われます。

その中でも二関節筋である大腿直筋(だいたいちょっきん)の肉離れが多いわけですが、 この大腿直筋の肉離れの治療に使うテーピングは

膝を伸ばし、股関節を屈曲するような動きをサポートするようなテーピングになりますので、貼ったあとに膝が伸びやすく、股関節が屈曲(もも上げ状態)しやすいような感覚を重視しましょう。

具体的にはこのような方法になります。

太もも 後(ハムストリング)肉離れのテーピング

太ももの後、ハムストリングの肉離れはとても多いケガですが、この部位のサポートテーピングは

股関節を伸展(太ももを後ろに持っていく)しやすく、膝を曲げやすくするようなサポートテーピングになります。

具体的にはこのような感じですね。

太もも 内(内転筋)肉離れのテーピング

太ももの内側は内転筋です。股関節を閉じる動きですので、その動きをサポートするようにテープを貼ります。

このような感じですね。

ふくらはぎ肉離れのテーピング

ふくらはぎ、すなわち、スネの後側は下腿三頭筋(かたいさんとうきん)といって、腓腹筋(ひふくきん)の内側と外側、そして、さらに深くにヒラメ筋があります。

特に二関節筋の腓腹筋が肉離れを起こしやすく、

その場合は、膝を曲げ、足首を底屈(つま先立ちのような動き)しやすいようなサポートテーピングになります。

腹筋の肉離れのテーピング

腹筋も肉離れを起こすことがあります。

この場合は起こした筋が腹直筋であれば、真っ直ぐ真ん中に縦に貼り腹斜筋であれば斜めに貼ります

腹直筋はこちらです。

 

腹斜筋は厳密には内腹斜筋と外腹斜筋で走行が違います。

その走行の違いは体幹の回旋運動で違いが出ます。

内腹斜筋はその筋肉がある方向に回旋する作用があり、 外腹斜筋はその筋肉がある方向と逆に回旋する作用があります。

どちらの腹斜筋をサポートするかは、この回旋運動のやりやすくする方向で違うと考えてください。

こちらをご参照下さい。

内腹斜筋のサポートテーピング

 

外腹斜筋のサポートテーピング

肉離れの基本をおさらい

肉離れとは?

肉離れとは?ということですが、そのままのイメージで間違いはないかもしれません。

「肉」が「離れ」てしまうケガです。

正確には筋肉が離れてしまうということ。つまり、筋肉の損傷です。

筋挫傷との違いは?

筋挫傷(きんざしょう)という病名もあります。これも筋肉の損傷です。では、何が違うか?というと、

直接外力による損傷を筋挫傷と言います。 つまり、筋肉そのものに相手選手の膝が入ってしまうとか、モノがぶつかってしまうとか、そういった結果、その筋肉が損傷してしまうことが筋挫傷です。

それに対して肉離れは、急な動きで筋肉が引っ張られてしまうことで筋肉が損傷してしまうという状態です。つまり、筋肉そのものに直接外力が加わったわけではなく、動きの中で筋肉が引っ張られたことが原因で起こるのが肉離れです。

アキレス腱などの腱断裂との違いは?

アキレス腱などの腱(けん)も筋肉の先端のスジといういいでは肉離れとの違いを理解しておくといいのですが、

アキレス腱などの腱は筋肉より細くカタい筋張った組織ですので、多くは完全断裂になります。それに対して、肉離れは筋肉というより太く柔らかい組織なので、多くは部分的にちぎれてしまった状態です。

そのため、腱断裂は手術が必要になることが多いですが、肉離れは手術せずに自然と治せることが多いです。

肉離れの原因は筋肉のコンディション + 急激な引っ張り力

肉離れの原因としては、まず筋肉のコンディションが重要です。筋肉自体が定常的に緊張状態だったり、疲労が溜まっていたりすると切れやすいと言えます。

そして、そういったコンディションが悪い状態の筋肉に強い引っ張り力(牽引力)が加わってしまった瞬間に筋肉がちぎれます。

筋肉とは骨と骨を繋いで、関節を動かす組織ですが、逆に言うと、関節の動きによっては筋肉が伸ばされる状態になります。これを筋肉のストレッチというわけですが、急に筋肉が伸ばされると切れかねないということです。

しかし、普通にストレッチをしていても切れないのは、ストレッチするつもりでストレッチしているからなんですね。

肉離れが起こるときはストレッチされながらも、その筋肉に力が入っているときなんですね。

これを遠心性収縮と言いますが、関節の動きの中で筋肉は伸ばされているのに、力は入っていて縮もうとする。この筋肉にとっては悲鳴を上げたくなる状態が肉離れが起こりかねない状態と言えます。

肉離れは二関節筋(にかんせつきん)に多い

肉離れは二関節筋と呼ばれる特殊な筋肉に起こりやすいと言えます。

二関節筋とは2つの関節をまたいでくっつく筋肉で、この二関節筋に力が入ると(=縮む、収縮する)2つの関節が動きます。逆に言うと、関係する2つの筋肉、どちらかの動きでストレッチされますし、どちらも同時に動くと方向によっては一気に急激にストレッチされることになります。

要は重要かつ負荷が強いのが二関節筋と言えるでしょう。

二関節筋の例としては股関節と膝に関わるハムストリング大腿直筋(だいたいちょっきん)、膝と足首に関わる腓腹筋(ひふくきん)、肩と肘に関わる上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)などです。

Rectus femoris – human muscle anatomy

Thigh man muscle anatomy

gastrocnemius

まとめ

今回は肉離れの処置方法ということで、応急処置と治療における処置、特にテーピングについて解説いたしました。少しでも参考になりましたら幸いです。

痛み、障害というマイナス状態からゼロに戻すだけでなく、さらにプラスへ持っていく方法や考え方についてはメールマガジンで解説していますので、興味が持っていただけましたらご登録をお願いします。

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当サイト管理人の歌島は関東の複数の病院で診療を行っております。

どうしても多くの患者さんを拝見している中で時間をかけて人1人と向き合う時間がないのが悩みですが、それでも、患者さんの希望を、理想的にはゴールをできるだけ掴んで、お手伝いできること、提供できることを常に探しながら診療しております。

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