肉離れの見分け方 「つる(こむら返り)」との違いは?専門医解説

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師川崎市立井田病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

肉離れとはよく聞くけど、自分のこの痛みが肉離れなのかどうかってどう見分けたらいいのかわからないですよね。

肉離れなのか?
単なる筋肉痛なのか?
「つる」(こむら返り)との違いは?

筋挫傷(きんざしょう)って言葉も聞くけど?

というような疑問に対してできるだけわかりやすく解説したいと思います。

こんにちは、整形外科医でスポーツメディカルコーチの歌島です。本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

肉離れと「つる」(こむら返り)の違い

まずは肉離れと「つる」(こむら返り)の違いをはっきりさせておきましょう。

「つる」(こむら返り)は筋肉の過剰な収縮「現象」

「つる」という状態はこむら返りと表現されますが、イメージされる状態の通り、イキナリ「つる」状態になって、一定時間が過ぎるか、その筋肉をうまくストレッチできると、おさまりますよね。

この瞬間は結構な痛みですから、肉離れってこんな感じかな?なんて思う人もいらっしゃいます。

この「つる」状態は要は筋肉が過剰に緊張、収縮して、緩めなくなってしまった状態です。つまり、「現象」です。

この「現象」がおさまれば痛みは引くのが一般的です。

そして、そのつった状態、こむら返りをおさめるのに効果的なのが、収縮、緊張した筋肉を伸ばすことです。

わかりやすいのが足裏のこむら返りですね。

この場合は足の指がギューッとグーになっていると思います。それを逆にパーというか、上に反らす(背屈)ように手である程度無理矢理持っていってしばらくすると、こむら返りが治ってることが多いと思います。

 

あとは、スポーツ選手でよくハムストリングスのこむら返りが起こり、周りの人にストレッチしてもらっている場面を見ることも多いかと思います。

そういうことなんです。

肉離れは筋肉の線維が切れてしまった「傷害」

それに対して肉離れは一時的な「現象」と違って、当然、「ケガ」です。医学的には「傷害」と言います。

詳しくはこちらのおさらいコーナーで肉離れとは?ということプラスαをご理解ください。

肉離れの基本をおさらい

肉離れとは?

肉離れとは?ということですが、そのままのイメージで間違いはないかもしれません。

「肉」が「離れ」てしまうケガです。

正確には筋肉が離れてしまうということ。つまり、筋肉の損傷です。

筋挫傷との違いは?

筋挫傷(きんざしょう)という病名もあります。これも筋肉の損傷です。では、何が違うか?というと、

直接外力による損傷を筋挫傷と言います。 つまり、筋肉そのものに相手選手の膝が入ってしまうとか、モノがぶつかってしまうとか、そういった結果、その筋肉が損傷してしまうことが筋挫傷です。

それに対して肉離れは、急な動きで筋肉が引っ張られてしまうことで筋肉が損傷してしまうという状態です。つまり、筋肉そのものに直接外力が加わったわけではなく、動きの中で筋肉が引っ張られたことが原因で起こるのが肉離れです。

アキレス腱などの腱断裂との違いは?

アキレス腱などの腱(けん)も筋肉の先端のスジといういいでは肉離れとの違いを理解しておくといいのですが、

アキレス腱などの腱は筋肉より細くカタい筋張った組織ですので、多くは完全断裂になります。それに対して、肉離れは筋肉というより太く柔らかい組織なので、多くは部分的にちぎれてしまった状態です。

そのため、腱断裂は手術が必要になることが多いですが、肉離れは手術せずに自然と治せることが多いです。

肉離れの原因は筋肉のコンディション + 急激な引っ張り力

肉離れの原因としては、まず筋肉のコンディションが重要です。筋肉自体が定常的に緊張状態だったり、疲労が溜まっていたりすると切れやすいと言えます。

そして、そういったコンディションが悪い状態の筋肉に強い引っ張り力(牽引力)が加わってしまった瞬間に筋肉がちぎれます。

筋肉とは骨と骨を繋いで、関節を動かす組織ですが、逆に言うと、関節の動きによっては筋肉が伸ばされる状態になります。これを筋肉のストレッチというわけですが、急に筋肉が伸ばされると切れかねないということです。

しかし、普通にストレッチをしていても切れないのは、ストレッチするつもりでストレッチしているからなんですね。

肉離れが起こるときはストレッチされながらも、その筋肉に力が入っているときなんですね。

これを遠心性収縮と言いますが、関節の動きの中で筋肉は伸ばされているのに、力は入っていて縮もうとする。この筋肉にとっては悲鳴を上げたくなる状態が肉離れが起こりかねない状態と言えます。

肉離れは二関節筋(にかんせつきん)に多い

肉離れは二関節筋と呼ばれる特殊な筋肉に起こりやすいと言えます。

二関節筋とは2つの関節をまたいでくっつく筋肉で、この二関節筋に力が入ると(=縮む、収縮する)2つの関節が動きます。逆に言うと、関係する2つの筋肉、どちらかの動きでストレッチされますし、どちらも同時に動くと方向によっては一気に急激にストレッチされることになります。

要は重要かつ負荷が強いのが二関節筋と言えるでしょう。

二関節筋の例としては股関節と膝に関わるハムストリング大腿直筋(だいたいちょっきん)、膝と足首に関わる腓腹筋(ひふくきん)、肩と肘に関わる上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)などです。

Rectus femoris – human muscle anatomy

Thigh man muscle anatomy

gastrocnemius

「つる」結果、肉離れになることも・・・

では、見分け方のお話に戻りますが、

「つる」と「肉離れ」が全然違うということはお伝えしましたが、「つった」結果、肉離れになることが稀ですがあります。

筋肉が過剰に収縮する、緊張する = 「つる」(こむら返り)

という中で、

その筋肉の収縮が過剰すぎると(過剰すぎるって表現もあれですが)、 もしくは過剰な状態が長く続いてしまうと、

筋肉は損傷してしまいます。

これも立派な肉離れです。

もう一つ紛らわしい「筋挫傷(きんざしょう)」

もう一つ、肉離れと紛らわしい言葉として、

「筋挫傷(きんざしょう)」があります。

挫傷というのは、打撲のような状態です。

要は筋肉の打撲ですね。

そして、実際に起こっているケガ(傷害)の中身は筋肉の線維の損傷、断裂です。

そう、

肉離れと同じです。

しかし、そのケガが起こるメカニズム(受傷機転)が違うわけです。

筋挫傷は打撲ですから、直接何かに筋肉を打ち付けてしまったために起こります。アメリカンフットボールやラグビー、サッカーなどコリジョンスポーツ、コンタクトスポーツと呼ばれるスポーツではよく聞く「ももかん」・・・太ももに相手の膝が入ってしまう状態などは典型的ですね。

それに対して、

肉離れは直接筋肉を打ちつけるのとは違い、筋肉が無理矢理引っ張られたり、過剰に収縮したがために線維がちぎれてしまう・・・ というのが、受傷機転です。

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肉離れの見分け方

では、この痛みが肉離れなのかどうか?

その見分け方について解説します。

受傷機転(なぜ痛くなった?)

筋挫傷との違いでもお伝えしたとおり、受傷機転、痛くなった原因、メカニズムというのが見分け方の第一歩です。

そして、肉離れを強う疑う受傷機転というのは、

筋肉が引っ張られて、かつ、収縮(力が入った)状態 それを遠心性収縮と言いますが、そのような状態です。

それは各筋肉毎に違います。

例えば、太ももの内転筋の肉離れであれば、動きの中で股を開くような体勢から、急激に方向転換したり、踏ん張ったりしようとした状態。

これは股を「閉じる」筋肉である内転筋が最大限伸ばされながらも、力をいれて収縮する(遠心性収縮)が起こっています。

また、

ふくらはぎの筋肉である腓腹筋(ひふくきん)であれば、走り出しの瞬間などはかかとがついて、足首が背屈した状態から地面を蹴ろうとするので、

腓腹筋がストレッチ(足首背屈)された状態で同時に強い収縮(地面を蹴ろうとする)するために肉離れが起こります。

そうかんがえると、

  • 踏ん張る
  • 急激な動き始め・方向転換

などが典型的な受傷機転と言えそうですね。

圧痛部位

圧痛部位も重要です。

肉離れは筋肉の線維の問題ですから筋肉の線維が少ない場所には起こりにくいわけです。

筋肉の線維が多いのは、上腕二頭筋(力こぶの筋肉)や腓腹筋(ふくらはぎ)などを思い浮かべていただくとわかりますが、関節と関節のちょうど間あたりです。逆に関節周りはそういった筋肉の膨らみは感じないと思います。

ですから、典型的な肉離れの痛み、圧痛部位は関節から少し離れた位置にあるというのが典型的です。

 

しかし、ちょっと注意が必要なのは、重症型の肉離れです。

重症型になればなるほど、肉離れは関節に近づきます。

ど真ん中である筋腹(きんぷく)から筋肉と腱の境目である筋腱移行部・・・そして、腱部分、そして、腱がくっつく骨・・・

と関節に近づくにつれ、その損傷は重症になっていき、単なる肉離れという表現では足りない損傷になってしまいます。(腱断裂、裂離骨折など)

筋肉のストレッチ痛(伸ばされて痛い)

筋肉の損傷ですから「痛みが出る動き」というものも特徴的です。

筋肉の線維がちぎれているイメージをしてもらうと、その筋肉が引き延ばされると余計にちぎれますよね。

ですから、筋肉をストレッチする、伸ばすという動きで痛みが走るというのは典型的な痛みの出方です。

逆に言うと、ストレッチしても痛みがないという状態が肉離れがかなり治ってきたサインとして考えています。

筋肉の抵抗時痛(力を入れて痛い)

もう一つ、筋肉の線維の一部がちぎれているわけですから、その筋肉を使えば痛いというのも典型的です。

その使うというのは、その筋肉に力を入れた場合に起こる関節運動に抵抗することでの痛みをみます。

よく「力比べ」と表現しながら診察します。

例えば、膝を曲げる筋肉であるハムストリングの肉離れなら、僕が膝を伸ばそうと力を入れて、「この力に抵抗するように膝を曲げようとしてみてください。力比べです。」といってやろうとすると痛くて厳しい・・・

というのが典型的ということですね。

まとめ

今回は肉離れの見分け方について、まぎらわしい「つる」(こむら返り)や筋挫傷なども例に挙げながら解説いたしました。少しでも参考になりましたら幸いです。

痛み、障害というマイナス状態からゼロに戻すだけでなく、さらにプラスへ持っていく方法や考え方についてはメールマガジンで解説していますので、興味が持っていただけましたらご登録をお願いします。

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