肘内障 子どもの腕の脱臼の治し方 整復方法を専門医が解説

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師川崎市立井田病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

今日は小学校に上がるくらいまでのお子さんに多い肘内障という状態の治し方、整復方法について解説します。

肘内障はれっきとしたケガですから、それを治すのは専門家、特に整形外科医の仕事です。その方法を公開してしまい、専門家でない人が行うこと自体が危険だし、同じ整形外科医の先生方の仕事を奪うことにもなりかねないので批判があるだろうことは承知の上です。

ですから、最初に強調しておきたいのは、一番オススメするのは整形外科医の診察を受けて、治療してもらってください。それがすべての基本です。

そして、もし自分で治してみようと思ったとして、この動画を隅から隅までご覧になって、注意点を100%おさえた上で、そして、自己責任で行ってください。 この記事を見てやってみたら、悪くなってしまった・・・としても、責任は負えませんのでご了承ください。

ただ、ちょっとした擦り傷に対して自宅で洗って絆創膏を貼って経過をみるように、自力で治せるものは治したっていいのでは?とも思っています。

こちらの動画でほぼ同じ内容で解説しておりますので、よくよく御覧ください。

こんにちは、スポーツ整形外科医の歌島です。本日も記事をご覧いただきありがとうございます。それではいきましょう!

肘内障の典型的な症状、エピソード「腕が脱臼!?」

まずこの肘内障という状態の典型的なエピソードから聞いてください。

お父さんが3歳の子どもと遊んでいて、 ふと子どもの左手を引っ張って引き寄せようとした瞬間、

子どもが「ぎゃーっ」っと声を上げ、泣き出し、左手をダランと動かさなくなってしまった。

慌てて、腕が抜けてしまったんじゃないか? 腕が脱臼してしまったんじゃないか?

と近くの病院に連絡します。

そして、その電話内容を当直医の僕が聞きます。

「あぁ、肘内障ね。どうぞ、きてもらってください。」 と伝え、待ちます。

いらっしゃるとぐったりしたお子さんが 左手をダランとしてお父さんに抱っこされています。

僕が 「左手ですね。引っ張っただけなんですよね?」 と聞くと、

お父さんが 「はい」とうなずきます。

僕が肘辺りを確認し、腫れなどがないことをチェックしながら、

お子さんに 「ここが痛いの?」 と聞くと、

半べそかいてうなずきます。

僕が、 「じゃ、治しちゃおっか」 と言って、

整復操作をすること1–2秒

「はい、治ったよ」

驚くお父さん

「え、もうですか?」

ここで肘内障について説明して、

「しばらく様子見てみてください。落ち着いたら腕を動かせるようになったことを確認してみましょう。」

そして、数分後、バンザイやバイバイの動作をしてくれたり、モノに手を伸ばしたりなど、動かせるようになったことを確認して診察終了。

これ、本当に多いんですよね。

整形外科外来や当直をやっていると週に1–2人は必ず整復している気がします。

肘内障の整復は手術です

そして、実はこの肘内障の整復はちゃんとした 脱臼に対する非観血的整復術という手術なので、 病院としては結構な収入源なんですね。

ですから、この整復方法を日本中の大人がマスターしてしまったら、 病院の収入はちょっと減っちゃうと思います。

でも、自分で治せるならその方がいいですよね。 日本全体の膨れあがる医療費の削減にもなります。

肘内障(腕の脱臼?)は誰でも治せる?

そんな大それた話はまぁ、いいとして、

そもそも誰でも治せるのか?

と思われるかもしれません。

実は僕の個人的な意見としては、ポイントさえ掴めば、 ホントに誰でもできる治療だと思っています。

そのための手順を解説します。

肘内障とは何なのか?

まず肘内障とは何なのか?を知ってください。

肘内障は腕や肘、肩が外れた、脱臼したと表現されることが多いのですが、 実際に起こっているのは肘の靭帯の脱臼です。

肘を構成する骨は3本あって、 まず肘から肩までの1本が上腕骨、 肘から手首までは2本あって、親指側を橈骨、小指側を尺骨と言います。

そして、肘内障で外れる靭帯は橈骨を取り囲むように走る靭帯です。

輪状靱帯という名前がついていて、 要は橈骨という細長い骨を指に見立てると、 それを覆うような指輪のような形で橈骨を支えている靭帯です。

この指輪がスルッと抜けてしまったような状態が肘内障です。

ですから、関節が完全に外れちゃうような脱臼とは だいぶ印象が違うかもしれませんね。

では、さっそく肘内障の治し方の手順にいきます。

1.骨折や関節脱臼の可能性が低いことを確認

まず1番目

骨折や関節自体の脱臼の可能性がものすごく低いことを確認する

ということです。

骨折や関節自体の脱臼の可能性があったら、余計なことはせずにすぐに病院に連絡してください。骨折や関節の脱臼だった場合に動かしてしまうと、その怪我をより重症化してしまう可能性があります。

そして、骨折や関節自体の脱臼の可能性がものすごく低い と判断するポイントは

  • 転ぶなど腕に強力な外力が加わっていないこと
  • 肘など痛がる部分の腫れや内出血がないこと

になります。

そして、肘内障の典型的なきっかけは 腕を誰かに引っ張られた ということになりますので、

引っ張られただけで痛がっている

というのは骨折や関節自体の脱臼ではなく 肘内障の可能性が高いと判断できます。

実際に肘内障を整復してみる

次に2番目です。

骨折や関節脱臼の可能性がすごく低い 逆に、肘内障の可能性が高いと判断したら、 実際に整復してみます。

僕らも肘内障かどうかの確定診断は難しいです。 なぜなら、靭帯が外れているとしてもレントゲンに靭帯は写りません。 診察上も輪状靱帯を触れるというのは難しいので、 結局、 整復してみてはじめて、やっぱり肘内障でした。 という診断の付け方になるということがほとんどです。

ですから、骨折や関節自体の脱臼の可能性が低いと判断したら、 とりあえず整復してみるというのが基本です。

肘内障整復法 治し方

整復方法についてです。 左腕の肘内障を例に説明します。

まず右手で肘を下から軽く持ちます。 そのときに親指で橈骨頭という部分を軽く押します。

「ここ痛い?」などとコミュニケーションをとりながらですね。

この親指の位置はかなり大切です。

この親指で整復感である「コクっ」とした感覚を触れないと 入ったか入ってないかわからないからです。

慣れないうちは難しいかもしれませんが、 目安として、まず肘のま裏側の出っ張りである肘頭を触れ、 それよりは若干手先方向の真横外側に触れる小さな出っ張りです。

肘の外側の出っ張りは もう一つ上腕骨の外側上顆という部分がありますが、 これは肘頭と同じくらいの位置から外側にうつると触れます。

それよりも少し手先寄りの小さめの出っ張りが橈骨頭です。

よーく触れると骨が触れると思います。

 

さて、右手の親指で橈骨頭を軽く押した状態で、 次は左手で手首を持ちます。

前腕を回内させながら肘を曲げていきます。

丁寧に、でもあまりにおそるおそるやると 子どもが痛い時間が長くなりますので、 スムーズに

最大回内、最大肘屈曲(招き猫ポーズ)まで持っていく途中で 右手の親指に「コクっ」とした感触があれば、 その瞬間が輪状靱帯が整復された瞬間です。

もちろん、この瞬間も子どもにとっては痛い瞬間ですから、 泣いてしまう子が多いですが、

この「コクっ」が感じられたら一安心です。

3.肘内障が整復された、治ったことの確認

そして、手順3番目は 治ったことの確認です。

それは子どもが自由に腕を動かしてくれることを確認することです。

特に肘の曲げ伸ばしをするようになれば大丈夫だなと判断できます。

さっきまで痛くて動かせなかったわけですから、 子どもも怖がってしばらく動かさないことは多いので、 少しのんびり見守ってあげてください。

必ず病院受診してほしい場合

最後に一番大切なポイントをおさらいです。

こういうときは必ず病院を受診してくださいというポイントです。

まず1つ目、 骨折や関節自体の脱臼など肘内障以外のケガが疑われるときです。 これは転んで手をついたなどのあきらかな外力が腕に加わったであろう場合、 また、痛い部位が腫れたり内出血している場合などです。

これは整復処置も行わず安静のまま病院受診してください。

次に2つ目、 整復処置をしても「コクっ」という整復感が得られなかった場合です。 これもしつこく整復操作をせずに、病院受診してください。 より経験のある専門家がやれば整復できることも多いですし、また、 骨折など別の状態の可能性もこれで高まりますから、無理は禁物です。

そして、3つめ、 整復感があった気がするけど、結局、子どもが患部を動かさない というとき。 目安は15分くらいかなと思います。 だいたい、病院では5分以内に動かしてくれることが多いです。

最後に、動画を見ても、 やっぱり怖いなと思ったり、なんか子どもの様子がおかしいなと思ったり、 少しでも不安があれば、やはり病院を受診してください。

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どうしても多くの患者さんを拝見している中で時間をかけて人1人と向き合う時間がないのが悩みですが、それでも、患者さんの希望を、理想的にはゴールをできるだけ掴んで、お手伝いできること、提供できることを常に探しながら診療しております。

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