三角骨障害の手術法と手術にかかる費用を専門医が解説

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師川崎市立井田病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

三角骨障害かかとよりの痛みの原因としてスポーツ選手に比較的多い障害です。

日本ハムの大谷翔平選手がこれによって離脱したり、シーズンオフに手術をしたことでも有名になりましたね。

三角骨は過剰骨でもともと「ない」人もいますから、逆に言うと、手術で取ってしまえば症状が改善することが多いわけですが、しかし、取ると言っても手術ですからリスクもあります。

そのため、正しい理解のもと、手術も含めた治療について決めていくことが大切です。 そういう意味でできるだけわかりやすく解説したいと思います。

こんにちは、整形外科医でスポーツメディカルコーチの歌島です。本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

三角骨障害の基本まとめ

三角骨とは

三角骨というのは距骨(きょこつ)という足首の骨の後ろにある過剰骨です。

この三角骨が距骨とくっついている場合は距骨の一部の後突起(こうとっき)という名前で呼ばれますが、どちらにしろ、この距骨の後に飛び出している骨(=三角骨 or 後突起)が原因で痛みが出る場合を三角骨障害と言います。

三角骨障害で痛みが出る2パターン

この三角骨障害で痛みが出るケースが主に2つあります。

三角骨がインピンジ(衝突)する

このインピンジメントというのが最も典型的な、直接的な痛みの原因です。

三角骨というのは足首の関節の後に存在しますが、足首の関節が底屈(つま先立ちの状態)になると、この三角骨がかかとの骨である踵骨(しょうこつ)と距骨、もしくは脛骨(けいこつ)の間に挟まりこんでしまうような状態になります。

痛そうですよね。

このようにある程度のカタさがあるものが衝突したり、摩擦を起こしたりするような状態をインピンジメントと呼びます。

そのため、三角骨障害は後方インピンジメント症候群の1つと考えられています。

この場合の典型的な症状は当然ですが、足首の底屈時の痛みになります。

これはバレエダンサーのつま先立ちの姿勢や、

サッカー選手のインステップキックの蹴り足が典型的な原因です。

大谷翔平選手の場合は右足でしたが、これはピッチングでリリースのあたりで軸足が回旋して、かなり強い底屈するのが原因だったのでしょう。

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三角骨の後の腱(長母指屈筋腱)が炎症を起こす

もう一つ、三角骨が原因で痛みが出る状態があります。

それが長母指屈筋腱の炎症 もしくは 損傷です。

長母指屈筋腱は足の母趾を曲げる筋肉のスジです。これが、三角骨のすぐ近くを走って、母趾まで到達するわけですが、 この三角骨のインピンジメントを起こす相手が時に、この長母指屈筋腱になって、結果的に長母指屈筋腱が炎症を起こす、もしくは損傷してしまいます。

この場合は母趾を曲げたり反らしたりする動きで痛みが出ます。

三角骨障害の手術は主に三角骨の摘出

三角骨障害の手術は冒頭で述べたとおり、摘出してしまうことが基本です。

それは三角骨自体が過剰骨で必要な骨ではないということが大きな理由ですね。

関節鏡で摘出する

今は膝や肩だけでなく、足首や手首、肘などにも関節鏡が用いられるようになってきています。

三角骨も関節鏡で足首の後方を覗きながら、小さい創だけで摘出することができます。

関節鏡手術は術者にテクニック、経験が必要ですが、大きな創をあけるよりもダメージも少なく、癒着も少なく、早くトレーニングを開始できるメリットがあります。

だいたい2–3週間くらいの運動禁止ののちに徐々にスポーツ復帰していくのが一般的です。

関節鏡で長母趾屈筋腱周りもクリーニングする(滑膜切除)

この関節鏡では同時に長母趾屈筋腱も確認できます。神経血管を注意しながらお掃除することもあります。

直視下に摘出する

しかし、関節鏡では足首の場合は特に観察範囲が限られてしまいますので、不十分な手術になると判断した場合や、長母趾屈筋腱を縫合しないといけないときなどはしっかり皮膚を切開して手術部を直視しながらの手術を行います。

つまり、関節鏡を使うか、直視下で手術するかはケースバイケースと言えます。

三角骨障害の手術費用の目安

この三角骨障害の手術費用はどのくらいになるのでしょうか?

まず一般的な関節鏡下滑膜切除の手術の保険点数は17000点、 10円/点ですので、170000円です。 この3割負担だと55000円くらいですね。

さらに入院費がかかってきますので、10日くらいの入院とすれば、負担額は20万円くらいが一般的のようです。

もちろん、検査や手術以外の治療内容、差額ベッド代(個室代など)の有無などでも変わってきます。

限度額適用認定という制度を活用しよう

また、限定額適用認定という制度は知っておく必要があります。

これは、入院・手術等で診療費用が高額になる場合、あらかじめ保険者から『限度額適用認定証』の交付を受け、医療機関の窓口に提示頂くと、診療費用の患者様負担額が軽減される制度です。

診療費用が高額となった場合、全額をお支払い頂いた後でも保険者に対し申請を行えば、この制度で定められた自己負担限度額を超えた金額について払戻しを受けられます。

しかし、事前に申請を行い提出頂くことで、一時的な多額の現金の支払いを軽減できます。 (入院時の有料個室や食事等の保険対象外の医療費は対象外)

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g5/cat550/1137-91156

このようなサイトも参考にしながら、ご自身の健康保険の保険者にお問い合わせしてみてください。

 

三角骨障害の手術以外の治療法

手術について先に解説いたしましたが、三角骨があれば手術で取るという安易な治療ではありません。手術に至るまでには最低2ステップを経ます。それは、

  • 三角骨の存在が痛みの原因であると診断すること(三角骨障害の診断)
  • 三角骨障害に対する手術以外の治療を試すも不十分であること

その結果、手術を選択するという3ステップです。

ですから、三角骨障害の手術以外の治療法についてもザッと把握しておきたいところですね。

安静と消炎鎮痛剤

まずは炎症が強い時期は安静消炎鎮痛剤の内服、湿布などで落ち着くのを待ちます。時にはステロイドという炎症を強くおさえる薬を三角骨の周囲に注射することもありますが神経、血管が近い位置なので注意して行います。

サポーターやテーピング

おさらいでも解説したとおり、三角骨障害は足首の底屈による後方インピンジメントが主要なメカニズムですから、底屈しすぎないようなサポーターというのも積極的に用います。

また、より調整しやすいモノとしてはテーピングがオススメです。 こちらの記事もご参照ください。

三角骨障害に効くテーピングを専門医が解説

2017.12.01

リハビリテーション

リハビリテーションとしては足首の安定性を高めること、また過度に底屈されないように足首の背屈筋(前脛骨筋:ぜんけいこつきん)の筋力トレーニングなどが基本的なメニューとして行われます。

こちらの動画もご参照ください。

 

こちらは少し上級者向けですが、

ダンベルなので重力という一様の負荷をかけられるということと、足首を底屈した状態から負荷をかけられていると思いますが、それも結構大事なポイントです。

三角骨障害は底屈時の痛みが多いわけですから、その周囲での筋力を鍛えることがより重要と考えれば、このような工夫は必要ですね。

まとめ

今回は三角骨障害の手術、手術費用についてお伝えいたしました。

参考になりましたら幸いです。

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当サイト管理人の歌島は関東の複数の病院で診療を行っております。

どうしても多くの患者さんを拝見している中で時間をかけて人1人と向き合う時間がないのが悩みですが、それでも、患者さんの希望を、理想的にはゴールをできるだけ掴んで、お手伝いできること、提供できることを常に探しながら診療しております。

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スポーツコーチングドクター歌島のプロフィール

2 件のコメント

  • サッカーをしている娘が三角骨になやまされ、痛み止めの注射やテーピングしてごまかしながら試合や練習に参加しています。
    内視鏡や切開手術で取り除く際、神経を痛めたり、断裂なんて事はあり得るのでしょうか?
    ネットとかで調べても失敗例は一切出てきません。もちろん今の状態のままではつぎのステップに進めないのはわかりますが、
    子供の頃から続けてきたサッカー馬鹿の夢(なでしこの一員)を手術によって失う可能性はありますか?

    • さとしさん

      一般論としてはサッカー選手の夢を奪ってしまうという結果はあり得ないとは言えません。

      手術において神経や腱を傷めてしまう可能性もあります。われわれはもちろん注意してやりますし、神経麻痺を起こすような神経を切ってしまった経験のある医師は相当少ない(僕もありません)はずですが、切ってしまうまではいかなくても神経はデリケートですから、手術によって神経障害(しびれや感覚障害、筋力低下)などは起こり得ます。

      ただし、極論、注射だってそういうリスクがゼロではありません。身体に侵襲を加える治療である以上、リスクがないものはありません。

      ただ、もう一方で、そのリスクが高いようなら手術はわれわれもやりませんから、リスクはゼロではないにしろ、もし手術をお受けになるとすれば、過度には心配せずに、できること、やるべきことに集中していただければと思います。

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