捻挫でギプス固定を外すまでの期間と注意点を解説 by専門医

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師川崎市立井田病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

捻挫でギプス固定をしますと言われたらどうでしょうか?

本当に必要なのか?と思う人もいれば、当然だよなと思う人もいるかもしれません。

では、ギプス固定の期間はいかがでしょうか?外すタイミングですね。

骨折では骨がくっつくまで1ヶ月以上固定することが多いですが、捻挫はそこまで長く固定することは少ないです。

 

ということで、捻挫の時のギプス固定の必要性といつまで固定しないといけないのか?ということについて解説していきたいと思います。

 

こんにちは、整形外科医でスポーツメディカルコーチの歌島です。本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

捻挫についておさらい

靱帯は関節が外れないように支えてくれているスジ

足首に限らず 靱帯(じんたい)の主な役割は

関節が外れないように、 グラグラしないように 想定外の方向や範囲の動きをストップしてくれる そんな支えとなっているスジ

と言っていいと思います。

 

それに対して、 筋肉自ら収縮して、 関節を動かすことができるスジ

は、その筋肉の先端、 骨にくっつくところのカタいスジ (=筋肉の一部)

と言えます。

捻挫≒靭帯が伸びる?

「靭帯が伸びる」と言ったときに、実際に、靭帯がびよーんと伸びているのか?

というと、

そんなゴムみたいな組織ではありません。

捻挫では実際には最低でも部分断裂が起こっている

おさらいしたように、関節が捻られたり無理な動きを強いられた時に、靭帯がピーンと張って、脱臼しないように踏ん張ってくれています。

しかし、強い力にはそれも耐えきれず、 いわゆる「捻挫」を起こしてしまいます。

これは靭帯でカバーできる力を越えたときに、一部、靭帯が切れてしまっている。要は部分損傷が起こっています。

時に重症なケースでは靭帯の完全断裂にまで至っていることがあります。

部分断裂が治っても元通りではない≒伸びる

部分断裂にしても、完全断裂にしても靭帯には自己修復能力(自然治癒力)があります。

その結果、靭帯が切れっぱなしで、関節がグラグラという状態にはならずに治ってくれるわけですが、

それでも、完全に元通りというのは難しいわけです。

もともと靭帯というのはキレイで多少の柔軟性とそう簡単には切れない強さを持っているわけですが、

損傷してしまったあとは、その損傷部はすこしいびつな線維である「瘢痕(はんこん)」と呼ばれるもので置き換わります。

この「瘢痕」はもとの靭帯よりも少し柔軟性も強さも劣ります。

そして、損傷の大きさによっては、

もとの靭帯+損傷部の置き換わった瘢痕

の長さが

もともとの靭帯の長さより長くなっていることが多いです。

そうです。これが「靭帯が伸びる」と表現される正体と言っていいかもしれません。 

捻挫におけるギプス固定の必要性

まず捻挫の場合にギプスが必要なのか否かというところから解説します。

結論から言うと、ひとくちに捻挫と言っても、部位や重症度でギプス固定が必要なケースと必要ないケースがあるということです。

捻挫ではギプス固定をしないほうがいいケースもある

骨折は骨が損傷しているのに対し、捻挫は主に靭帯が損傷しています。

靭帯は骨と違って、ある程度の柔軟性を持ったスジですから、骨折のようにパズルをぴったり合わせて動かないように固定するような厳密さは必要ありません。

 

むしろ、固定することによって、本来は動きの中で働く靭帯が、その働きを忘れてしまうように、治癒がイマイチ進まないことがあります。

そのため、靱帯損傷でも痛みや腫れが少ない軽症ではギプス固定は最初からしないということも良くあります。

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捻挫でギプス固定が必要なケース

逆にそういった捻挫でもギプス固定が必要なケースはどういったケースかと言うと、

一言で言うと「重症な捻挫」です。

 

重症な捻挫は靭帯の損傷具合も大きく、また、靭帯の周りの筋肉や関節包などなどの損傷や出血、腫れも大きいです。

そうなるとギプス固定をせずに動かす、負荷をかけるということは損傷を強めてしまったり、炎症を強めてしまう結果になりかねません。

そういう意味で、捻挫したての最初はギプス固定が必要ということになります。

捻挫でギプス固定を外す期間の決め方

次に捻挫でギプス固定をした場合、いつまで装着していないといけないのか?ということです、つまりギプス固定期間ですね。

レントゲンなどで治り具合がわかるわけではない

まず骨折と違うのは、レントゲンなどでは靭帯の治り具合がわかるわけではないということです。

なら、MRIはどうか?と言うと、靭帯は描出されますが、靱帯損傷の程度によってMRI画像は全然異なりますし、治ってきたサインのようなものがMRIで見えてくるのは、実際に治ってくるのより遅れて出てきます。

さらにMRIは予約制の検査で、かつ費用も安くありません。

そのため、画像検査での判断は非現実的で難しいと言えますが、

「超音波(エコー)」は判断材料になり得ます。

超音波で靭帯の損傷部とその周囲の腫れ具合を経時的に見ていって、回復傾向があればギプスを外すということはやってみてもいいかもしれません。

見て触って決める?

画像よりも大切なのは見て、触って決めるということです。

腫れ具合や痛み具合の回復傾向をみながら、強い炎症状態は脱したと判断したらギプスを外すということですね。

多くは1–2週間程度と時期を決め打ち

ただ、捻挫におけるギプスはもともとそんなに長い期間固定するものではありません。

靭帯がくっついてきたからギプスを外す・・・ということではなく

炎症がおさまってきたからギプスを外すという考え方になりますので、受傷時の炎症具合で必要なギプス期間はある程度決まってしまいます。

その期間はだいたい1週間程度、かなりの重症例で2週間程度で、ギプスを外すということになります。

捻挫におけるギプス固定の注意点

捻挫におけるギプス固定中の注意点を解説します。

脚の捻挫では歩くのが許可されているか確認

足首が多いと思いますが、体重がかかる脚の捻挫でギプス固定を要した場合は体重をかけていいか、歩いていいかの確認をしましょう。

 

松葉杖での歩行を勧められることも多いと思いますが、松葉杖を使って完全に片脚で歩くくらいの徹底が必要なのか、多少は痛みに応じて体重をかけていいのかを確認しておくことは大切です。

 

骨折とは違うので絶対体重をかけてはいけないというケースは少ないです。

ただ、部位によっては炎症が強ければ体重をかけるという負荷がより炎症を強めかねないので、その判断を主治医にしてもらいましょう。

一般的には「体重をかけたときの痛みが強くなければいいですよ」ということが多いです。

ギプス一般の注意点 濡らさないなど

また、捻挫に限らずギプス固定全般の注意点もリストアップしておきます。

  • 濡らさないこと
  • ギプスの中で当たって痛みがあれば早めに申告すること
  • 腫れが増したために指や趾が動かしにくい、痛いなどがあれば急いで相談すること
  • シーネ+包帯のような固定で固定が緩んだ場合はまき直すか巻き直しのために受診する

こちらの記事もご参照ください。

骨折のギプス 痛みや外すタイミングまであらゆる悩みに専門医が答えます

まとめ

今回は捻挫のときのギプス固定の必要性といつまで固定しているか?ということについて解説いたしました。

捻挫とはなんなのか? ギプス固定の意味はなんなのか?

という基本に立ち返って理解し、治療していくことが大切だと考えていますので、参考にしていただければと思います。

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3 件のコメント

  • テニスの試合中に滑って転倒し、プチプチ?ブチブチ?って音が聞こえて足首靭帯損傷しました。痛みを強く感じたのは、内側踝の下、そのつぎが外側踝のまわりです。
    30年振りの靭帯損傷でギプスをするのも30年振りですが、ギプスの固定方法が昔とか変わったのかな?と、疑問に思いコメントしました。
    足首捻挫のギプスの固定方法として、おそらく一般的には包帯を巻いていくような形で固定すると思いますが、白い綿?の包帯を足全体に巻き、その上に、足の指先あたりから足裏→アキレス腱→脹ら脛と、縦にテーピングを3~4枚貼るような感じで後ろ側だけ固定し、あとは普通の固定用ではない伸縮性包帯で足全体を巻いていくよう方法(シーネ?)は、有効な処置なんでしょうか?
    受傷後の初期処置で氷でアイシングを20分弱、その後スポーツトレーナーにテーピングでしっかり目に固定してもらい、翌日病院に行きました。当日病院に行かなかったのは、遠方で受傷したので急いで地元に戻ったのですが、時間的に間に合わなかったためです。
    レントゲンで骨折してないことを確認し、エコーで靭帯損傷を確認しました。損傷度合いは、レベル2だと思われます。

    • ご質問ありがとうございます。

      お話を伺う限りは、ごく一般的な足関節固定かなと思います。
      足裏からふくらはぎまでの硬いシーネがフィットしていれば足首はある程度固定されているはずです。

      もちろん、全周性にギプスを巻く方が固定性は高いわけですが、包帯による締め具合の調節ができず、腫れの逃げ場がないので、特に初期はギプスを巻くことはかなり減っています。

      骨折ではないとのことで、固定性もある程度で良いと思いますので特に問題ないかと考えます。

      あくまで一般論ですが。

      • お忙しいなか、回答してくださりありがとうございました。
        やむを得ず受診した整形外科医院が、治療方針や計画も言われることなく、リハビリ施設や機材もない悪評高いとこだったので、とても不安になってました。

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